第9回目のインタビューは、ゲームデザイナーを辞めてフリーターになったIさんです。
夢を追いかけてゲームデザイナーになったものの、忙しさに心を壊してしまう結果に。
再就職することもできず、ひっそりと中年フリーターとして生活をしています。
現在のお仕事やご苦労について語ってもらいました。

記者記者

本日はよろしくお願い致します。


IさんIさん

はい。よろしくお願いします。


記者記者

早速ですが、現在おいくつですか?


IさんIさん

30歳です。


記者記者

それで、正社員をされていたのは、何歳から何歳までですか?


IさんIさん

19歳から30歳まで


記者記者

どういったお仕事をされていたんですか?


IさんIさん

ゲーム関係の仕事をしていました。


記者記者

ゲーム関係のお仕事というと、どんな内容ですか?


IさんIさん

デザイナーでしたので、グラフィックの作成や、それらに関する管理業務をしていました。


記者記者

月収はおいくらでしたか?


IさんIさん

大体30万円ぐらいですね。


記者記者

それで、どうしてそのお仕事を辞められたんですか?


IさんIさん

突然パニック障害を発症してしまい鬱も併発して辞めざるをえなくなりました。


記者記者

突然ですか?


IさんIさん

はい、無意識のストレスが溜まっていたのかと思います。


記者記者

よくそこまで我慢されていましたね。


IさんIさん

好きで入ったゲーム業界なので必死になって仕事をしていました。時には家に帰れない事もざらでしたが苦にならず夢中で仕事をしていました。


記者記者

それで、残業代は出ていましたか?


IさんIさん

いいえ、出ませんでした。ゲーム会社のほとんどは、裁量労働制を採用していて、残業代が出ないんですよ。


記者記者

裁量労働制とはどんなものですか?


IさんIさん

業務に従じた時間ではなく、量に対して給料が支払われる仕組みです。


記者記者

量に対して・・・ですか。


IさんIさん

はい。なので、何時間働いても、最初に指定された量しか作っていないので給料は変わらないということですね。


記者記者

そんなシステムで、みんな文句は言わないんですか?


IさんIさん

ゲーム業界ではこれは割と当たり前なんですよ。残業代を出していたら潰れちゃう会社がほとんどなんだそうです。


記者記者

厳しい業界ですね・・・。


IさんIさん

そうですね。キレイに言えば、夢を叶えるために色んな物を犠牲にしているって感じです。


記者記者

辞めた後は、どんな感じで就職活動されましたか?


IさんIさん

最初の一年はなるべく落ち着いて休む事に専念していましたが、2年目からは症状も軽くなってきたのでハローワークなどへ行って就職活動をしました。しかし、症状がまた悪化してきたので止めてしまいました。


記者記者

社員のお仕事を辞めたことを後悔していますか?


IさんIさん

会社には休職を勧められ、本来ならばそうするべきだと思いました。症状が軽いうちに戻っていれば治っていたかもしれないからです。


記者記者

なぜそうしなかったのでしょう?


IさんIさん

同僚などから冷たい目で見られたりしていたので、戻っても良かったかどうかを考えると微妙なところだったからです。


記者記者

現在はどんなお仕事をされているんですか?


IさんIさん

アルバイトをやれるときはやったり、やはり症状が出るのでやめたりの繰り返しです。


記者記者

今の月収はおいくらですか?


IさんIさん

月給はいいときで15000円程度です。時給はまちまちなのでわかりません。


記者記者

今の仕事で辛いことはありますか?


IさんIさん

仕事自体に恐怖心があるので何をやってもつらいです。生活が出来ていない、両親が健在なので世話になっている状態が一番つらいです。


記者記者

最後に、今後の目標や将来の展望について教えて下さい。


IさんIさん

パニック障害がまだ良くならないのでそれを克服して、なんとか自分の収入だけで生活できるようにならなければと思っていますが、ブランクが長すぎて心が折れかけています。むしろもう折れているのかもしれません。時期が来たらそれなりの方法で人生を終えると思います。


記者記者

それなりの方法・・・とは・・・。


IさんIさん

ははは、そんなこと言えませんよ。ただ・・・本当に疲れてしまいました。


記者記者

お心をしっかり持って、がんばっていってください。


IさんIさん

ありがとうございます。


記者記者

こちらこそ、ありがとうございました。

ゲーム会社の多くが採用している給与形態、『裁量労働制』の闇

ゲーム業界は、多くの子どもが憧れる業界です。
キラキラと夢が溢れるゲームに惹きこまれ、次第に自分で作りたいと思い始める・・・とても自然な心の流れですね。

しかし、ゲーム業界の現実は、そんなにキラキラとしたものではないようです。

Iさんのおっしゃる通り、ほとんどのゲーム会社は裁量労働制を適用しています。

インタビューの中でも説明していただきましたが、この制度を採用されていると、基本的に残業代、ボーナスが出ません。

年俸制のお給料を月々分けて支払ってもらっているような物とイメージしていただければわかりやすいでしょうか。

ゲームの開発費には上限があるため、このようなシステムが採用されているのでしょう。

本当にきちんとした金額が計上された裁量労働制であれば問題はありませんが、ほとんどの場合はIさんの会社同様に「残業代を支払わないため」にこの制度を利用しています。

数年前に、とある有名ゲーム会社が訴えられたことがあります。
裁量労働制の都合のいい部分だけを利用して、社員をこき使ったことが原因です。

この裁判では会社側が敗訴し、残業代を支払う命令が下りました。

キラキラとした物の裏にはこのような物が隠れています。
「好きな物を仕事にしない方がいい」というのは、こうした意味も込められているのかもしれません。